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第8回 完全音程、増、減
2度、3度、6度、7度に長音程、短音程があったように1度、4度、5度、8度にも正式な名前があります。
それが「完全」と呼ばれる名前です。
「完全音程」とは、良く溶け合う音程の事を言います。
なぜ良く溶け合うのかと言うと、音の振動数の比が単純な為です。
え?なんだって?って感じですよね。
知っている人も多いかもしれませんが、音とは振動数によって音程が決まります。
これを周波数なんて呼んだりしています。
スピーカーから出る音が人間の耳に聞こえるのも、スピーカーが空気を振動させて、その振動が耳まで届いているからです。
この振動数の比が1度と1度、1度と4度、1度と5度で単純な数で表せます。
単純な数字であればあるほど良く溶け合います。
例えば1度と1度。
これは同じ音なので、問題なく1:1ですよね。
次に1度と4度。
こちらは3:4になります。
そして1度と5度。
これは2:3になります。
最後に1度と8度。
オクターブ上は1:2となります。
音は、振動数が倍になると1オクターブ上がるんですね。
ここまで説明しておいて言うのもなんですが、この比率は覚える必要はありません(笑)
説明の為に書いただけです。
大事なのは1度、4度、5度は長・短ではなく、完全が付くという事です。
では、完全4度、完全5度はどれくらいの音程の差なのか…それは第6回で解説しましたね。
ドを基準に考えてみると、完全4度はファとなり、全音2つ+半音1つです。
完全5度はドとソの関係になり、全音3つ+半音1つです。
もう一度譜面と指板で確認しておきましょう。
完全4度
6弦ルートのポジション
5弦ルートのポジション
6,5弦ルートのパターンでは4度は隣の弦の同じポジションとなります。
これは4,2弦でも同じですが、チューニングの関係で3弦だけは隣の弦の1フレット上になるので気をつけましょう!!
完全5度
6弦ルートのポジション
5弦ルートのポジション
5度のポジションはエレキギターを弾く人にはお馴染みのポジションですよね。
そう、パワーコードはルートと5度のみで構成されたコードなんです。
6,5弦ルートのパターンではどのポジションでも5度は隣の弦の2フレット上となる為、パワーコードはどのコードでもフォームが同じなんです。
どうでしょう、ちょっと理論が分かると面白いでしょ?
さて、2,3,6,7度では半音ズレると長と短に変わりましたが、完全音程はどうなると思いますか?
半音上がると長5度、下がると短5度?
考え方は合っていますが、ハズレです。
正解は、減5度、増5度です。
完全音程には長・短がないので付けられないのです。
完全音程より半音低ければ(ルートから見て間隔が狭まれば)「減」が付き、半音高ければ(間隔が広まれば)「増」が付きます。
意味そのままの字なので、長・短よりも分かり易いですよね。
ただし、ここで注意が1つあります。
1度は完全音程ですが、ルートと同じ音なので、減1度という音程は存在しません!
実はこの増・減は2,3,6,7度にも付きます。
この場合は、短音程よりも半音低いと減、長音程よりも半音高いと増となります。
言葉だけでは分かりづらいので視覚的に捉えてみましょう。
納得するまで下図を見てください。
※矢印1つが半音程です
例えば、長2度の場合、半音上がると増になり、半音下がると短2度になります。
そこから更に半音下がると減2度となります。
この図がすんなり頭に入れば音程に関してはもうバッチリです!!
どうしても分からないという人は、今までの記事を読み返してゆっくりと覚えましょう。
ギターで良く使われる3度と7度は頑張って覚えましょう。
さて、頑張った方へおまけタイムです。
増から更に半音高い音、減から更に半音低い音程はどうすると思いますか?
それぞれ重増、重減と呼びます。
ダブルシャープ、ダブルフラットと同じく、あまり見かけることはないんですけどね。
はい、おまけタイム2です、今日は大盤振る舞いです(笑)
ルートがドだとすると、長2度はレですね。
長3度はミですね。
長2度の更に半音上、増2度は…レ#ですね。
長3度の半音下、短3度は…ミ♭ですね。
レ#とミ♭、下のポジションを確認してみましょう。
実際には同じ音だという事が分かりますね。
このように、名前が違うのに同じ音の事を異名同音と呼びます。
まだまだ行きますよ?!!
増2度の半音上、重増2度は…レのダブルシャープですね。
短3度の半音下、減3度は…ミのダブルフラットですね。
レのダブルシャープ、実際の音はミと同じです。
ミのダブルフラット、実際の音はレと同じです。
あらま、音の高さが逆転してしまいましたね。
こんな事は早々ないですが、ちょっと面白いと思いませんか?
それではまた次回!!