- 特集
 - ゼロから覚える音楽理論
 - 第25回 マイナーでのドミナントモーション
 
ゼロから覚える音楽理論
前回ダイアトニックコードの構成音からトニック、サブドミナント、ドミナントを見てみました。
			では、マイナーキーでも同じくドミナントモーションを起こしてみましょう。
第25回 マイナーでのドミナントモーション
まずはキー=Aマイナーのダイアトニックコードのおさらいです。
			Cメジャーダイアトニックコードと音もコード名も同じです。
			スケールと同じく、違いはCから始まるか、Aから始まるかだけですね。
			ではトニックのAm7におけるドミナントは…
Em7?
試しにギターで弾いてみましょう。
			
			このコード進行を繰り返し弾いてみてください。
			悪くないですが、これといった特徴もないコード進行ですね。
			特にEm7からAm7への解決感は感じられませんよね。
ドミナントモーションは、完全4度の強進行+トライトーンの不安定さからくる半音進行でした。
			Em7にはトライトーンがありません。
			さぁ、これは困りました。
だったら、Em7をE7にしてトライトーンを作っちゃえばいいんじゃない?
			Em7の構成音E、G、B、Dを
			E、G#、B、Dのように3度を半音あげるって事ですね。
では4小節目のEm7をE7に変えて弾いてみましょう。
			
			最後のE7からAm7のコードチェンジが先ほどよりも終始感、次のコードへ行く勢いがついたと感じませんか?
これがマイナーコードでのドミナントモーションです。
			メジャーと同じく、5度上のコードを7thコードにすれば良いわけです。
でも待って!
			勝手に半音上げちゃっていいわけ??
			ナチュラルマイナースケールから外れちゃってるけど?
			と思いますよね。
大丈夫です、ちゃんと説明します。
まずAマイナーのキーなので、Aナチュラルマイナースケールを見てください。
			これはもう嫌というほど見てきましたね。
			そして、先ほどドミナントモーションを起こすためにG音をG#音に半音あげました。
			半音上げた音階がこれです。
			さて、どうですか?
どうですかって言われても困りますよね。
			この音階(スケール)に見覚えありませんか?
			そうです、第12回に出てきたハーモニックマイナースケールです!!
			もしかすると第12回で「何で急に半音上がるの?」と思われた方がいたかもしれません。
			実はマイナーキーでトニックへのドミナントモーションを起こす為に生まれたスケールだったんです!
第12回でも言いましたが、ハーモニックマイナースケールは日本名で「和声的短音階」と言います。
			和声、つまりコードで終始感を出す短音階という事です。
			これで、ハーモニックマイナースケールの謎が解けましたね。
使い方にクセのあるスケールですが、誰でもイングウェイになれるスケールですので色々な場面で使ってみてください。
さて、ハーモニックマイナースケールの謎解きも終わった所で(笑)、セブンスコードの使い道についてお話しておきましょう。
セブンスコードには何度も言う通り、ドミナントモーションを起こす要素があります。
			次のコードへ解決したい不安定な響きですね。
			要素というより、ほぼその為に存在しているコードと言っても過言ではありません。
ですので、セブンスコードが出てきたらドミナントモーションだな、4度上のコードに解決するんだな。と思ってください。
			そして、ドミナントモーションを上手く使うアーティストと言えば、サザンオールスターズがあげられます。
			トニックへのドミナントモーション以外にも部分転調する場合や、さりげなくセブンスが入ってたりします。
			そして、そのセブンスコードに乗っかるメロディーがサザンっぽさを出しています。
作曲をしていて、唐突に次のコードに進む前や、何か物足りないなと感じたらセブンスコードを挟んでみてください。
			スムーズな流れになると思います。
次回は更にスムーズに解決する為のツーファイブを解説しようと思います。

