- 特集
- ゼロから覚える音楽理論
- 第22回 テンションコード(11th,13th)
第22回 テンションコード(11th,13th)
例えば、Cというコード(構成音:C,E,G)があります。
これに7度のB音を加えるとCM7(構成音:C,E,G,B)になり、ちょっとお洒落なコードになります。
ここから更に音を足したものがテンションです。
例えば9度(9th)のD音を足すとナインスコードになります。
11度(11th)を足すとイレブンスコード、13度(13th)を足すとサーティーンスコードとなります。
ここで気をつけたいのは、1つのコードに対して全てのテンションが使えるわけではないという事です。
例えば、CM7に11thのF音を足すとCM7(11)になりそうですが、基本的にこのコードは使えません。
11thのF音がsus4にあたる為です。
前回解説したとおり、sus4は3度が吊り上げられている状態なので元(3度)に戻ろうとします。
しかし、CM7(11)はC,E,G,B,Fという構成音の為、3度のEが既にあります。
この戻りたがる不安定さと、3度と4度の半音での同居がよろしくないとされています。
なぜなら、半音で音がぶつかるコードは綺麗に響かないからです。
極稀にあえて使う人もいますが、下手に使うと外れた音に聞こえたり、不協和音に聞こえるのでお勧めはできません。
もっと言うと、メジャーコードで11thは使わない方が安全です…というか、ほとんど使われません。
そこで、メジャーコードでは半音上げた#11thを使います。
ちょっと使い方が難しいですが、メジャーコードの場合は半音あがると覚えておいてください。
では、マイナーコードの場合をAm7(11)で考えてみましょう。
構成音はA,C,E,G,Dとなりますよね。
11thのD音ですが、マイナーコードなのでsus4の役目を果たしません。
(そもそもsus4は3度がないコードなので妙な解説なんですが…)
そしてマイナーコードの3度は半音低い短3度ですね。
短3度と4度のインターバルは全音なので、音がぶつかる事もなく、めでたしめでたしです。
逆に、半音上げてしまうと5度と半音でぶつかってしまいます。
先ほども出てきましたが、慣れないうちは「半音でぶつかる」事を全力で回避してください。
メジャーコードでは#11th、マイナーコードでは11thと覚えておけば安心です。
セブンスだけは何でもアリなので11thの時が極稀にあります。
コードに限りませんが、セブンスって何でもアリな事が多いんです。
例えばセブンスコード(ドミナントモーション)の時に使えるスケールはたくさんあり、使っていい音も多いです。
オルタードや経過音も合わせて考えると、使えない音の方が少ないくらいです。
「セブンスは何でもアリ」というのも、ギタリストにとっては個性発揮の要なので覚えておくと良いと思います。
話が逸れましたが、13thの解説に入ります。
13thはM7でもm7でも使えて、セブンスコードに限っては13thに加えて♭13thも使えます。
♭13thはテンションらしい響きなので、実際に音を出してみてください。
G7(♭13)⇒G7(13)⇒CM7
よくある進行ですが、G7⇒Cと比べると全然違いますよね。
慣れるまでは押え方に違和感を感じるかもしれませんが、11thに比べると登場頻度も高いので、忘れないようにしましょう。
また、G7も下図の様に押えるとテンション系のコードを弾く時に便利です。
ロック系でこの押え方をする人はあまりいないですが、結構便利なフォームです。
バレーではないので、6弦ルートのセブンスコードをセーハせずに押えられます。
解説が長くなってしまいましたので、今回はここまでにしましょう。
次回は9thと音の選び方について解説します。