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第18回 キーのまとめ
何はともあれ、まずは下の図を見てください。
初めて見る方もいるかもしれませんが、図にも書いてあるとおり五度圏(ごどけん)と呼ばれています。
人によっては5度円図、Circle of Fifthと呼ぶ人もいます。
分かり易く言うと、頂点のCを基準に時計回りに完全5度ずつ進んだ図で、内側のマイナーコードは外側の平行調となっています。
反時計回りには完全5度下がると考えてください。
時計に見立てて12時のところにCがありますよね?
そこからひたすら5度ずつ進み、最後Fから5度進んで元のCに戻ります。
指板で考えると、前回の#系の動きと全く同じです。
まぁ名前の通り、5度ずつ上がっていくので当たり前と言えば当たり前なんですけどね…
さて、こうやって並べてみると面白い事が起こります。
11時⇒5時まで順に外側を追ってみてください。
調号の#が付く順になっていますよね?
逆に5時⇒11時は♭の付く順番です。
そして、Cから時計回りは#が付いた数によって変わっていくキーの順番。
Cから反対周りは♭が付いた数によって変わっていくキーの順番になっています。
例えば、調号に#が4つ付いたら4時のところのE。
♭が4つ付いたら8時のところのE♭といった具合に、考える間もなく一目瞭然です。
でも、それだけではないんです。
時計に見立てると、基準にする一時間後がドミナント、一時間前がサブドミナントになっています。
1時のGがサブドミナントです。
8時のA♭がサブドミナントになっています。
なぜこうなるかと言うと、右隣は5度、左隣は4度上となるからです。
ドミナント=5度、サブドミナント=4度でしたよね?
スリーコードでブルースセッションする時は、この図さえあれば瞬時にコードが分かりますね。
さらに、さきほどのルート、ドミナント、サブドミナントの内側を見てください。
それぞれの平行調がありますよね?
例えばCを見てみると…
この6つ、実は基準の音のダイアトニックコードになっています!!
基準の音の前後一時間、それぞれの平行調、これがダイアトニックコードとなっています。
本来はもう一つ、7度の「m7♭5」があるのですが、特殊なコードな上に、五度圏上の隣にはいないのでこれだけは覚えておいてください。
他には対角線がドミナント7thの代理コードになってるというのもあるんですが、ここではサラッと説明しておきますね。
例えば、Gの対角線にD♭がありますよね?
G7はCのドミナントですが、G7の代理コードでDb7を使うことができます。
これを説明するにはトライトーンを説明する必要があるのでまた次の機会にお話しますね。
では最後におさらいを。
Cをルートに完全5度ずつ進んでいくと五度圏ができます。
この五度圏から…
①調号が付く順を導き出せる。
②キーの変わり方、調号の数からキーを導き出せる。
③ルートを決めれば、ドミナント、サブドミナントを導き出せる。
④ルートを決めれば、ダイアトニックコードを導き出せる。
結構便利な図ですね。
机の前やトイレに張っておくと、知らず知らずに覚えられるかもしれませんね(笑)
さてと、今回は解説ばかりでちょっと面白くなかったかもしれませんね。
と言うわけで、久しぶりの蛇足コーナーです。
蛇足と言っても奥の深い「移調楽器」のお話です。
移調楽器って聞いたことくらいはありますか?
通常、皆さんが使ってるギターやベースはCの音を弾けばCの音が出ますよね?
何を当たり前の事を言ってるんだと言われそうですが、世の中にはCを弾いてもCが出ない楽器が幾つもあります。
チューニングが合ってないとか、そういう問題ではなく、そういう作りになっているんです。
例えば身近な楽器だと、トランペット、サックス、トロンボーン、クラリネットなどが移調楽器です。
(移調楽器ではない種類もあります。)
例えば一般的なトランペットはB♭管(べーかん)で、Cを吹いてもらうと、実際にはB♭の音が出ます。
つまり、キーがCの曲にトランペットを入れたいと思ったら、トランペット奏者には全音上へ移調した楽譜を渡さなければなりません。
他に、F管(えふかん)やE♭管(えすかん)の楽器もあります。
吹奏楽やオーケストラでは常識の話ですが、ポピュラー音楽をやっていると中々理解が難しい所です。
逆に言うと、移調楽器用に書かれた楽譜をギターで弾くときは、元に戻す作業が必要になってきます。
ギターはフレットを移動するだけでいいので大した手間じゃないんですけどね。
ちなみに、B♭管を「べーかん」、E♭管を「えすかん」と言うのはドイツ語発音の為です。
クラシックやオーケストラの世界では、ギタリストがCやG7と表現するのと同じくらい普通にドイツ語を使います。