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第13回 コードの役割
前々回のコードの仕組みで出てきたダイアトニックコードを覚えていますか?
メジャースケールのそれぞれの音をルートにし、3度と5度を重ねたコードの集まりでしたね。
キーがCのダイアトニックはC、Dm、Em、F、G、Am、Bm7♭5でした。
実はこのコードは3種類の機能に分類されています。
まず1つ目がトニック(T)と呼ばれる種類です。
コード進行の中で中心を担う役割があり、安定した響きを持つコードです。
CやEm、Amがこれにあたります。
2つ目がドミナント(D)と呼ばれるトニックに解決(進行)したくなる強い響きを持ったコードです。
GとBm7♭5がドミナントにあたります。
そして3つ目がサブドミナント(SD)と呼ばれる種類で、トニックとドミナントの中間的なポジションで、直接もしくは間接的にトニックに解決したくなる響きを持っています。
Dm、Fがサブドミナントにあたります。
例えばC⇒Am⇒F⇒G⇒Cというコード進行があったとします。
弾いてみると、何て事はないよくあるパターンですね。
最初のCとAmはトニックなので、安定感のある落ち着いた響きですよね。
次のFへ行くと若干響きが不安定になり、どこかへ落ち着きたくなりませんか?
よく分からないという人は
C⇒Am⇒F⇒F⇒Fの様に、Fをしばらく弾き続けてみてください。
段々と違和感を感じて、次のコードに行きたくなりますよね?
これがサブドミナントの特徴で、そのままGへ進行します。
G⇒Cの流れは非常に安定した「落ち着いた!!」という感じがすると思います。
先ほどに説明したように、トニックに解決する為のコードなので、何の迷いもなくトニックに戻ってこれる特徴があります。
このG⇒Cの流れ、つまりD⇒Tの進行をドミナント終止(ドミナントモーション)と言います。
ドミナントモーションでよく使われる小話があります。
学校の音楽の授業で「起立、礼、着席」とピアノに合わせて挨拶をしませんでしたか?
この「礼⇒着席」の部分がドミナントモーションです。
コードを書くと、起立(C)⇒礼(G)⇒着席(C)というようにT⇒D⇒Tの王道のコード進行だったわけですね。
ドミナント終止以外にもトニックへ解決する進行があります。
それがC⇒Am⇒F⇒F⇒CのF⇒Cようなドミナントに行かずにトニックへ解決する進行です。
これでも問題なくトニックに解決しますが、ドミナントモーションほどの終止感はなく、柔らかい印象です。
サブドミナント終止(サブドミナントモーション)やアーメン終止などと呼ばれています。
このように、コードにはそれぞれT、D、SDという役割があり、行ったり来たりしながらコード進行を構成しています。
つまるところコード進行というのは、いかにトニックへ解決するか、どういう展開で解決するかという事になります。
図で表すとこんな感じです。
注意したいのはSDとDの関係。
SD⇒DはOKですが、D⇒SDは良くない点です。
あくまで「良くない」程度で、絶対にダメと言う訳ではありません。
覚える事が多いので、今月はここまでにしておきましょう。
と言うわけで、久しぶりの豆知識コーナー(蛇足コーナーだろ!)の登場です。
最後に出てきた「アーメン終止」の名前の由来です。
まんまなので、何となく分かるかもしれませんが、キリスト教の「アーメン」が由来です。
賛美歌の最後の「アーメン」がこの和音で歌われることが多いので名が付きました。
しかしこの「アーメン終止」、その昔は教会以外であまり使われない進行でした。
使用を禁止した音楽理論の考え方もあったそうです。
そして「アーメン終止」を現代に広めたのが…THE BEATLESという話もあります。
確かにTHE BEATLESは積極的にアーメン終止を使っています。
名曲LET IT BEにもアーメン終止が使われています。
それどころか、良くないと言われているD⇒SDもガンガン出てきます。
時代と共に音楽理論が変わっていくよい例ですね。
どこがアーメン終止、D⇒SDなのか調べてみてください。
ではまた次回!!